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【暮らしとお金のアドバイザー】===憲法改正特集号===
ライブリフッド プランニング メルマガニュース
(2013年5月号 号外)
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予告したとおり【号外メルマガです】
明日は5/3の憲法記念日。今回はこの特集、「憲法改正特集」です。
今、安倍首相は憲法改正したいと言っています。石破幹事長も参議院選挙では
争点になるといっています。でも我々にとって、憲法ってどれくらい身近で
しょうか?(憲法より、健保の方が身近です。)
これから争点になるであろうと思われる点を書いています。でも、身近じゃ
ないだけに、争点になるのかどうかも疑問です。
(私の意見を最初に言いますと、
「憲法は改正すべき、でも生存権が脅かされるのは嫌だ」・・・です。)
【憲法改正特集】
●安倍さん(自民党)は96条をまず改正したい
●9条問題=戦争の放棄・武力の放棄
●42条=国会は、衆議院及び参議院の両議院で構成
●一票の格差の違憲状態問題
●この他の注目点
●私が 今回もっとも 違和感があるのは、101条
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◆憲法は生活の基本
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今の憲法の大事な条文を二つ。
●憲法25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する
これがあるから、年金制度もあるし、健康保険制度もある、
ついで言うと生活保護制度もある。いわゆる生存権というやつ。
●憲法9条 戦争と、武力による威嚇・武力の行使は国際紛争を解決する手段と
してこれを放棄する。陸海空軍を保持しない。国の交戦権を認めない。
で、自民党の発表している憲法草案について、問題になるところだけを、今日はとり
あげます。
(きっとこれからのニュースでは、どれか一つだけが取りあげられて、他の大多数は
争点がぼけると思われますから)
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●安倍さん(自民党)は96条をまず改正したい
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現行の憲法96条は「憲法の改正について」です。
●憲法96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、
これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この
承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票に
おいて、その過半数の賛成を必要とする。
これを、
・各議院(衆・参両院)の総議員の2/3以上の賛成 → 1/2へ
・特別の国民投票または選挙において、1/2の賛成 → ?
各議員の2/3を過半数にしたいというのがこの夏でのおそらく争点です。
過半数か2/3か? こういう数字だけなら、「改正もまいいか?」、と
思う人も多いような気がします。
でも、実際にはその次にくる「じゃあ憲法の何を変えたいの?」これが大事で
自民党草案にでています。その主なものと、私が注目しないといけないと思うとこ
ろが次。
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●9条問題=戦争の放棄・武力の放棄
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◆自衛隊は、自衛のためでしか発砲できない。=“交戦権がない”
=ミサイルが飛んできてからしか撃てない
事前に基地や拠点、戦艦への攻撃はダメ
=海外で法人が拉致されても(武力を持って)助けに行けない。
◆海外派遣などで国連などの後方支援に行き、参加中に攻撃された場合
アメリカなどと共同戦線がとれない
海外派遣は、近年、地震後や革命後の選挙監視などの治安維持などが増えつつ
あります。でも武力が保持できない。小火器のみ。
=政府軍・反政府軍の相当な混乱の後でも小銃のみで監視に
当たらねばならない
このため草案では「国防軍をもつ」と明記されました。
尖閣や北方領土問題を見ても、海外派兵の協力を見ていても、現在の自衛隊という
う制度の解釈(戦争は放棄だし武力も放棄、でも自衛のための武力はOKだよという
解釈)は中途半端です。
しかし、国防軍の創設は、将来、「徴兵制や兵役」の導入も覚悟する必要があり
ます。
これを示唆するかのように自民党草案の9条の3項では、
「国民と協力して、領土・領海の保全」と書かれています。
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●42条=国会は、衆議院及び参議院の両議院で構成
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維新の会などは、参議院不要論を出しています。参議院を無くせば国会議員と
国会にかかる費用は約半分になると。
9条改正後に42条で参議院が無くなれば、改正の提案はしやすくなります。
ですから、その時大事なのは、「国民の1/2の賛成」の項になるでしょう。
今の国政選挙は、小選挙区以降、与野党どっちか風が吹いた方が勝ちますから、
歯止めがきかないという点では、恐いことです。今の社会制度が政権によってころ
ころ変わっているように、憲法がころころ変わる恐れがあります。
しかし、この「国民の1/2」が、有権者の1/2なのか投票者の1/2なのか。
あるいはもっとハードルを上げるのか下げるのか。気になります。
(§)
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●一票の格差の違憲状態問題
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先日、選挙の無効判決が出ました。つまり今の国会は基本的におかしい状態ですよ
と裁判所が判断したわけです。でもこのおかしい状態で議論を進めても良いの?
というのがこの問題。
憲法全文:正当に選挙された国会における代表者を通じて行動する。
第43条 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。
両議院の議員の定数は、法律でこれを定める
議員定数はいまだに揉めてます。結局衆議院再可決で0増5減案で違憲状態を解消
するようですが、そもそもこのような違憲状態で選ばれてしまった国会議員が法律を
作って良いのでしょうか?
すなわち、正当に選挙された人たちじゃないだろ! って。
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●この他の注目点
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上以外でもいろいろ変更点があります。
◆天皇は国家の「象徴」である → 天皇は「元首」である
◆公共の福祉 → 公益および公の秩序 ・・・が散見される
(国民の財産・権利は、公益及び公の秩序のもとに制限されるなど)
◆緊急事態の宣言 → 首相は宣言でき、このときは何でもアリになるという条文
そして維新への配慮なのか、道州制の項目もあります。
第92条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、「地方自治」の本旨に基いて
「地方自治」→「地方自治および、それを包括する広域地方自治体」へ
さて根本的な問題、【今の憲法にある次の言葉】から
日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の
成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の
国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたもの。
この基本的人権を、かなり、制限することになる憲法改正案と言えます。
基本的人権よりも「公益及び公の秩序」が優先される場合もある法律改正です。
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●私が 今回もっとも 違和感があるのは、102条
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気になるというか違和感があるというか、丁度・・・例えば、とある車メーカーが
こんな社是を持っていたとします。
【安い車を提供して、みんなに移動の自由を楽しんで貰う】
こういう社是が、
【車を作ることで利益を出し株主に還元することを最大の目的にする】
・・・・だから将来給料さげるかも
こういう感覚を持ってしまうのが次の条文なのです。
自民党草案の
条文101条:「憲法は国の最高法規であって、これに反する法律等は無効」
・・・これは良いです。変更無しです。
今でもよく憲法違反裁判の根拠になっているやつ。
この後の条文が問題。
条文102条(新設):「すべての国民はこの憲法を尊重しなければならない」
・・・なんだこれ? ★★★★
「基本的人権が憲法により守られる」という趣旨を真っ向から無視しています。
すなわち、司法・立法・行政の三権分立。
憲法のもとで立法するのは国会議員だから、憲法を守るのは国会議員。
なぜに国民が憲法を守るのか?
国民が作った憲法の元で、国会議員が立法し、行政が実行する。この根本的な考え方
の相違です。めちゃめちゃ気になります、違和感あります。
もちろん、安倍首相の「今の憲法はGHQによって押しつけられた憲法だ」という点は、
それなりに私も理解します。我々の憲法を作るべきだと思います。
でも上の102条、「我々の作る憲法」により国会議員が立法する、という意味を取り
違えて、フツーの法律を作るような感じです。すなわち、●●基本法なんかを作る感じ
です。もし「どうせ国民は憲法のことなんか詳しくないし、今までの法律のように
作っちゃえ」なんて考えていたのなら、トンデモナイ話。
(自動車メーカーで言えば)
・社会的に意義のあることをして、利益を上げる から
・利益を上げれば、社会的に意義がある(はず)
と変わった感じ。
これ、自民党の中で指摘する人がいなかったんでしょうか?
で、この議員さん達が、正当に選挙された人かどうか?(§に戻る:ダルセーニョ)
※ダルセーニョはいいですよね♪音楽記号で、目印のところへ戻るってやつ。
(実は、最初これを書いた時にはフェルマータと間違えてた(^_^;))
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私の意見は、「憲法は改正すべき」です。で、改正のためのハードルを下げるべき
じゃなく、そのハードルを越えられるようにしっかり説明して世論を盛り上げる努力
しないといけない。結局、みんなが変えたい! と思えば変えたらいいじゃないか、
別にハードルを下げなくても、です。だいたい、議員定数削減で一致しているのに
まとまらない国会がハードル下げるべきじゃありません!
次に私を悩ませるのが、「交戦権」の話。現状の外交を見ていても、いや、正直、
アメリカの庇護が無ければ、武力をちらつかせなければいけないこともあるかもしれ
ません。この時、「徴兵・兵役・個人財産の制限」覚悟で交戦権賛成を言えるかどう
かと言うと、私自身まだ判断できません。東京との尖閣諸島寄付金は14億円を越え
ました。国の領土のために財産を出しても良いと思う人も大勢いるわけです。
当面は、自衛隊の格上げだけでことは進むでしょう。でもその先にあるものは、
良い未来? 悪い未来? まだ私には判断できません。
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(余談)
実は私にとっては、憲法改正より健保改正の方がちょっと恐いのです。
公務員や大企業の健保組合の9割がここ数年で積立金がなくなり存続危機にある中で、
高齢者医療への拠出金を、協会けんぽ(中小向け健保)並みに引き上げよという社会
保障国民会議の意見が出ました。(4/22付け)
公務員と大企業の健保組合はますます拠出金増加。おそらく健保組合はどんどん解散
して、協会けんぽに加入していくことになるでしょう。昔は豊かな財政で福利厚生が
充実できたり、自前で運用できたりしましたが(例えば、グループ企業に短期融資す
るとか)、財政赤字にとっては今や企業内一つの天下り組織でしかありません。
こういう組織は消えゆく運命ではないかと思います。
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今回の号外号、長い長〜い長文をお読みくださりありがとうございます。
これから争点になるであろうと思われる憲法改正を書きました。でも、身近じゃない
だけに、今後、争点になるのかどうかも疑問ですし、単純に96条の憲法改正要件だけ
に注目が集まるのかも知れません。
憲法を変えやすくしたい→悪かったらまた変えればいい。
こういう流れが悪いとは思いません。
でも過去、年金問題でも原発問題でも、国民の知らないところで話がすすんでいた
ためにいろいろ問題が後から起こった・起こってきた・そしてまだ解決していない!
こういう共通点があるのではないかと思っています。
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ライブリフッド・プランニング (竹本隆之)
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